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コールトン・フィッシュエーカーの敷地は30エーカー(約3万7千坪)。庭は整備され林道をめぐるミニ・ハイキングも可。
駐車場からエントランスまで徒歩。半マイル(800メートル)はあったろうか。
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通路の意匠、手入れは至極自然にみえて身体になじみ、田舎ふうの雰囲気が横溢。
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通路は建物の一部として巧みに設けられている。
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エントランス東側にあるカントリーハウスふうの建物はオズワルド・ミルン(1881−1967)の設計で
1926年に完成。依頼主のルパート・ドイリー=Rupert D’Oyly(1876−1948)は富豪の家系。
1903年、弱冠27歳でロンドンのホテル「ザ・サボイ」の会長に就任、名門ホテル「クラリッジス」も
所有するいわばホテル王で、夫人ドロシー・ミルナー(1889ー1977)とここに住んでいたこともある。
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ルパートはすでに終焉を遂げたアーツ&クラフトに郷愁を寄せていたふしがあり、この建物もロンドンのレッドハウス
の様式を継承している。ウィリアム・モリスが提唱したアーツ&クラフト運動の起点はレッドハウスとされている。
ルパート&ドロシー夫妻は館に音楽家やオペラ歌手などを招いて夜な夜なパーティを催していたようである。
急勾配の坂を当時の低馬力の車、もしくは馬車で人間および道具一式を運ぶのはタイヘンだったろう。
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ハウス横 北東側 ↑
清楚なマーガレットもこころなしか自己主調している。主張(言い張る)ではなく独自の調べ。
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ハウスは周囲の景観に溶け込んでいる。ハウスという主人のために庭園ほかがデザインされたかのように。
この地はルパートがダートマスとブリクシャム(Brixham)の間、つまりダート川河口をヨットで航行中、
船上から見上げる景観のすばらしさに魅了され購入したという。
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半円形水寄せから始まるのがストリーム(Stream)ガーデン、もしくはリル・ガーデン(Rill Garden)。
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ストリームは小川の流れ。これは円形プール(小)。
流れは広い庭園を南東方向に向かう。
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円形プール付近を別方向から見るとハウスはこんな感じ。花のなかではブルーのルピナスが目立つ。
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ストリームは微妙に段差をつけられ次の水路に落ちてゆく。
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水路は画像上に向かって伸びてゆく。
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ここまできて、いったん下って小さな池になり、さらに水路になって続く。
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水路はここで小さな滝になり、さらに小川となって海へ流れ落ちる。
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亜熱帯植物の生い茂る小道は緩やか。
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このあたりから緩やかな斜面と急斜面が交互にあらわれる。
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ルパート&ドロシー夫妻の共通の楽しみのひとつがセーリング。夫妻がハウスに取り付けた風検出器(風向計)は、
室外器は煙突に、室内器(後述)はライブラリーの暖炉の横にあり、さらに、高潮クロックなる機器が室外のどこかにあって、
執事がこれを手動で操作して、しかるべき高潮情報を夫妻に知らせたものであるらしい。
英国人は海洋王国の民であり、そうでない私ですら高潮は目視すればわかるというもので、北海道・紋別の里の民は
暴風下の海を見て「ウサギが飛んでいる」と言ったものであった。それは海が荒れて白波が立つという現象を示している。
夫妻はそのようなことより何か目新しい機器に興味を抱き、風力の強弱に合わせて動作する高潮クロックを設置した。
このような自前のミニ気象台は夫妻のセーリングに必要不可欠だったのかもしれない。
ドロシーの祖父クランブルッック伯爵(1814−1906)は19世紀後半内務大臣や国務長官を歴任している。
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石段を登りきったところにある見晴らしのよいバルコニー。
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南デヴォンのサウス・ウェスト・コースト・パスを歩いてきたハイカー(右側の帽子女性)も一息入れる。
時間の経過とともに陽光が移動して影をつくる。
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のどかな風景と涼風が汗した身体をリフレッシュする。
ここは語らいに最適の場所かもしれない。ここまで上ってくるのに疲れはするが。
ただし夜の語らいには懐中電灯が必須。満月でなければ漆黒の闇。
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ルパート&ドロシー夫妻の息子マイケル(21)は1936年・南仏でスポーツカーを運転中、事故で死亡。
1941年、夫妻の結婚生活は破綻したが、交通事故との因果関係は不明である。
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勾配はゆるやかだが、急斜面すぎて撮影できない谷は断崖そのもの。
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建築物と窪地の関係=もともと平地の少ない地形ということ=がわかる。
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上の画像の小道からぐるりと巡ってここに出る。
夏場、涼風を受けながらルパート夫妻は舟遊びのプランを練ったのだろうか。
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ライブラリーの暖炉の横にはキングスウェア半島の鳥瞰図と風向計がセットになったものが飾られている。
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キングスウェア半島の鳥瞰図。風向計が額とセットになっているのがおもしろい。
風向計の室外器の下に取り付けている風向盤と額の風向計は連動しており、風向きが変わると当然のごとく針も動く。
鳥瞰図は建築家&アーティストのジョージ・スペンサー・ホフマン(1875−1950)が
1927年にルパート・ドイリーの依頼をうけ作成した油彩画。サイズは約175センチ(横)X約87センチ(縦)。
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斜面だらけで、斜面をならしてつくったり、利用してつくったりの庭や芝地が多い。
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ちょうどいい所にイスはあるけれど
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葉っぱがかぶさって、左半分は寝っ転がるのにむいている。右の青紫色の花はゲラニウム。
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石の積み方と石段が素朴。マーガレットの白もあざやか。
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ひびの入った薄い石材、木製の古い窓枠、窓越しの金具、そして光の調和。
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ルパートの娘ブリジットは、トーキーのパレスホテルの所有者ローランド・スミスにコールトン・フィッシュエーカーを
売却する1949年まで住んでいた。
33年経過した1982年、ナショナル・トラストがコールトン・フィッシュエーカーを購入し現在に至っている。
2013年5月1日以降10月31日までコールトン・フィッシュエーカーのオープン時間は10:30ー17:00(金曜休)
11月2日〜12月23日11:00ー16:00(土日月のみ) 12月27日〜30日11:00ー16:00 入園料9ポンド
2014年からの開園時間&入園料は現時点(2013年5月8日)では未定。
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キングスウェア半島の周遊コース。左上の表示に7マイル&4時間(控えめ)と記されている。
コールトン・フィッシュエーカーはDとEのあいだに位置する。7マイルは約10、2キロ。
見学しながらの歩行ゆえ4時間はみておくほうがいい。
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