ミラベル庭園1
ミラベル庭園1
 
ザルツブルク・新市街のシュバルツ通りを歩くと、樹木の多い一画が不意にあらわれます。ミラベル宮殿と呼ばれるその一画は、ザルツブルク大司教ヴォルフ・ディートリッヒが生涯の愛人サロメ・アルトの住まいとして1606年竣工しました。サロメは市内の商人の娘で、大司教が強引に所望したとか。
 
ご承知の通りザルツブルクは大司教が統治していました。その娘は、大司教が神聖ローマ皇帝に頼んだすえに伯爵夫人の称号を授けられ、アルテナウと名乗りました。ミラベル宮は当初アルテナウ宮だったのです。
ミラベル庭園2
ミラベル庭園2
 
時の大司教(ヴォルフ・ディートリッヒ)が漁色家であった事に疑いの余地はなく、ほかにも愛人はいたようですが、何といってもサロメが大のお気に入りで、彼女との間に15人の子をもうけ、5人は夭折しましたが、のこった三男七女は無事育ちました。その後の大司教の運命はというと、計略に乗って投獄されてしまいますが、そんな事はどうでもよろしい。
 
ミラベル宮の2階・大理石の間は現在、市民の結婚式場としてつかわれていますが、一年中米国や日本などから結婚式の申し込みで引きも切りません。昼間は式場、夜はロウソクの明りで室内楽コンサートが催されています。

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