英国を旅すると いわゆるおすすめがないことに気づく 衒いでいっているのではない ここがいいと思っても 別の土地に行くと そこのほうがいいと
思ってしまうのである 一つの旅にいい場所が次々出てきて 結局甲乙つけがたいのだ そういうなかで深く心に残ったのがノース・ヨークシャーである
ノース・ヨークシャーのムーアは英国の数あるムーアのなかでもひときわ懐かしい
ノース・ヨークシャー・ムーア鉄道
ノース・ヨークシャー・ムーア鉄道
 
ノース・ヨーク・ムーア国立公園のピッカリングからグロスモントまで29キロを運行。
国立公園の面積は1432平方キロ。海岸線の多くは絶壁で、ウィトビー、スカーバラなどの港町を含む。
蒸気機関車は観光用として1日5往復、途中下車可、年間30万人が乗車するという。
 
ノース・ヨークシャー・ムーア
ノース・ヨークシャー・ムーア
 
朝ぼらけ 寒々した時間 撮影の頃合い
 
アナクロス
アナクロス
 
広大なローズデール(Rosedale)をハイキングすると、この十字架に出くわす。アナクロスである。
アナクロスは先史時代(青銅器時代)の埋葬地の上に立っている。台上はしばしばハイカーの腰掛け。
アナクロスの高さは台座を入れて約3メートル。
 
霞たなびく
霞たなびく
ノース・ヨークシャー・ムーア
ノース・ヨークシャー・ムーア
リブルヘッド Ribblehead 高架橋
リブルヘッド Ribblehead 高架橋
 
ヨークシャー・デイルズに架かるリブルヘッド高架橋。長さ約400メートル、高さ31メートル、24本のアーチ。
 
 
ヨークシャー・デイルズ
ヨークシャー・デイルズ
ヨークシャー・デイルズ
ヨークシャー・デイルズ
 
赤い電話ボックス、色あせたヒース、積まれた石、いまにも崩れ落ちそうな石垣。
こういう風景こそ、フランスでもイタリアでもオーストリアでもない、まさにイングランド。
 
イングルバラ
イングルバラ
 
ヨークシャー・デイルズ=Yorkshire Dales にあるイングルバラ=Ingleborough はヨークシャー・デールズの3つの丘のひとつ。
標高は約720メートルと低いが、途中、石灰岩の岩肌に挟まれた道(ゴツゴツした石がころがっている)を歩く楽しみもある。
 
ヨークシャー・デイルズ
ヨークシャー・デイルズ
 
太陽はムーアすれすれの高さまでしか上がらず、そのままの位置を保ってぐるりと移動するだけだ。
強い日差しを必要とする植物はあまり育たない。
 
ヒース
ヒース
 
咲き方と色をみるかぎり生命力が強いように思える。やわらかな光がヘザーを育てる。光が強いとたちまち枯れるのだ。
 
ヘザーとヒースはよく似ているので混同されることもあるが、ヒースの花弁は額片より長く、ヘザーは短い。
ヘザーの花弁は額片と同色で4枚、花弁に重なった額片は花のようにもみえる。
 
湿原のヘザー層が堆積し炭化したものがピートで、ハイランドでは燃料として不可欠であった。スコッチウィスキーのほのかな甘い香り
の元がヘザーであることはスコットウィスキー贔屓なら誰でも知っているだろう。
 
ノース・ヨークシャー・ムーア
ノース・ヨークシャー・ムーア
 
とがった石にしかみえないが、これも十字架。
ヘザーの咲く前、もしくは色あせた後、ムーアは荒涼たる風景に変わる。人を癒やすものは何もない。だがなぜか懐かしい。
 
ノース・ヨークシャー・ムーア
ノース・ヨークシャー・ムーア
 
ピンク色のヘザーはすっかり色あせている。
 
ノース・ヨークシャー・ムーア
ノース・ヨークシャー・ムーア
 
空は晴れている。ときおり聞こえるつむじ風の音に耳をそばだてる。
 
大地が生みだすのは豊かな実りだけではない。胸にポッカリあいた虚空をも生みだすのである。
いちずであるがゆえに実らない、あるいは結ばれることを拒む魂が私たちのなかにひそんでいる。
 
殺伐とした風景をみて思い出すのはエミリー・ブロンテの「嵐が丘」(Wuthering Heights)である。
 
 
日没
日没
 
嵐が丘の背景は冬のムーアである。エミリー・ブロンテは自らと同じ魂がムーアにあると信じた。それがヒースクリフかもしれない。
嵐が丘の主人公はヒースクリフではなくむしろムーアではないだろうか。作家と登場人物はすべてムーアに生きた同じ魂なのだ。
 
ヘザーが輝く時間。おそらくは生涯にわたって忘れられぬ光景。
群生するヘザーのなかにまぎれ込んだ風はうめき声をあげていた。夕焼けの美しさと対照的な風の音。
荒涼とはこういうものなのかと思わずにいられなかった。そして荒涼の美しさに鳥肌が立った。
私は荒涼のなかでしか解放されないのかもしれない。
 
バーニング
バーニング
 
晩秋こうして焼いて、ムーアの土を豊かにリフレッシュさせる。
 
フットパスからの眺め
フットパスからの眺め
ローズベリー  Roseberry
ローズベリー  Roseberry
 
ほかのだれでもない、彼らが、私たちが歩かざるをえないステキな道が目の前に続いている。
 
ローズベリー
ローズベリー
 
ここは世界遺産ではない、自分遺産なのです。
 
ロビン・フッズ・ベイ
ロビン・フッズ・ベイ
ロビン・フッズ・ベイ
ロビン・フッズ・ベイ
Sculpture between Saltburn and Skinningrove
Sculpture between Saltburn and Skinningrove
ヘザーの群生
ヘザーの群生
ヘザー
ヘザー
 
そこにいるだけで、だまってながめているだけで、すべてが報われるような風景。そんな風景と出会うために旅をしているのかもしれない。
 
 
シティ・ウォール  ヨーク
シティ・ウォール  ヨーク
クリフォード・タワー  ヨーク
クリフォード・タワー  ヨーク
クリフォード・タワー
クリフォード・タワー
ヨークミンスター
ヨークミンスター
ラベンダー
ラベンダー
 
ただ咲いているのではない、見る者に息を飲ませるために咲いている。
 
ゴースランド駅 Goathland Station
ゴースランド駅 Goathland Station
 
ノース・ヨーク・ムーア鉄道で元気な姿をみせている蒸気機関車。
ノース・ヨーク・ムーア鉄道は1865年につくられ20世紀半ばまで運行したが、1960年代にいったん廃止される。
が、復活をのぞむ声に押されて1967年、保存鉄道としてカムバック。
Nelly Ayre Foss
Nelly Ayre Foss
フットパス
フットパス
 
アーク渓流沿いのフットパス。レンガ造りの橋の上はノース・ヨークシャー・ムーア鉄道の線路。
 
The Wainstones
 The Wainstones
The Wainstones
 The Wainstones
ソルトバーン  Saltburn
ソルトバーン  Saltburn
霞たなびく
霞たなびく
 
過ぎ去れば、この世のことはすべて山あいを曲がりくねって吹く風のごとく、あるいは、低くたれこめる霞の彼方の弱い光のごとく
遠ざかってゆく。しかしその光は、北風の吹き荒れる暗い野に旅人がすくむとき、雲の「絶え間から射してくる月の光にも似て
懐かしく、明るく感じるのだ。強い光はまばゆく、刻印を残すが、弱い光は臆しているかのようにかすかにほほえむだけである。
にもかかわらず弱い光は、深い霧につつまれた野をすみずみまで照らすのである。寂寞をいやすのではない、つつみこむのだ。
ウィトビー
ウィトビー
ウィトビー
ウィトビー
ウィトビー エンデバー号
ウィトビー エンデバー号
 
キャプテン・クックは航海訓練受講のため1746年、18歳のときウィトビーに来た。
長じてエンデバー号をウィトビーで造らせ、1768年から3度の大航海(ニュージーランド、オーストラリア、ハワイほか)
に出た。ウィトビーの北にスティシスという小さな漁業町があり、クックはそこの小間物屋の徒弟だった。
爾来200年余、木造帆船エンデバーは毎年のようにウィトビーを出航することとなる。
 
Staithes  スティシス
Staithes  スティシス
 
クックはウィトビーからA174を西北西に16キロ進んだ小さな村スティシスの食料品店で働いていた。
 
Staithes  スティシス
 Staithes  スティシス
 
スティシス村は北海が結氷したときの避難港であるという。
 
ガイ・フォークス・ナイト  ウィトビー
ガイ・フォークス・ナイト  ウィトビー
 
イングランドでは11月1週目の金、土、日に各地で花火大会が催される。
ガイ・フォークスは16世紀後半〜17世紀初頭の英国人。
1605年11月5日、未遂に終わった火薬陰謀事件の首謀者。そうした事件に
かこつけて花火を打ち上げるなんて、いかにも英国的。
 
ガイ・フォークス・ナイト  ウィトビー
ガイ・フォークス・ナイト  ウィトビー