この西洋牡丹の苗は祖父の故郷シーフォードから植え替えた。
赤い牡丹の名はメアリーであるが、その名はブラディ・マリーを
すぐに連想させるので、鮮やかな赤もたちまち血の色にかわる。
ヘンリー8世と彼の最初の妻アラゴン(スペイン)のキャサリンの間に
生まれたメアリーは、イングランド女王即位前まで父に顧みられぬ
母共々惨めな少女時代を送った。母の影響を強く受けたメアリーは、
敬虔を通り越して異常なまでのカトリック信奉者であり、父が訣別した
ローマ教皇と和解し、国内のプロテスタントを徹底的に弾圧した。
多数の司教と新教徒が処刑され、イングランドは血の海となるが、
血まみれのメアリーは、いまなおカクテルにその名を残している。
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