旅に王道なし(1)
 
 バブル華やかなりし頃、JTBが「ロイヤル・ロード」と銘打って、欧羅巴13〜16日間の旅を、航空機はファーストクラス(110万円前後)またはビジネスクラス(70万円前後)、ホテルは各都市の一流どころ(町にもよるが一泊5〜6万円)、観光地をショーファードリブン、つまり運転手付きの高級車で案内するという企画を立てたことがあった。
 
 11泊13日間Fクラスを利用した場合の参加費用は280万円ほど、Cクラスだと240万円ほどで、14泊16日間なら325万円、285万円の負担となる。勿論一人分の料金である。私はこういう無体な料金設定のいいかげんさというか、法外さ、理不尽さが嫌いである。
金のなる木を自宅の庭に植えていて、落ち葉がたまると腐って臭うのヨ、などとホザく有閑マダムの参加をあてこんでJTBがつくった旅ではあったが、仄聞する所によると人気はあったらしい。
 
 JTBの超豪華な旅を自分で企画したら、いかほどかかるか試したことがあった。1989年7月のことである。私が立てたプランは、一部JTBのものとは異なる。どこが異なるかというと、JTBはコートダジュールのホテルをネグレスコ(ニース)、またはカールトン(カンヌ)、あるいはホテル・ド・パリ(モンテカルロ)に設定していたが、私はそれらよりさらに贅沢なドゥ・カップ(アンティーブ)にした。
また、JTBはミラノ泊であったが、私はコモ湖のヴィラ・デステ泊とした。ミラノ観光は数年前にすましていたし、旅の終わりにコモ湖畔でのんびりしたかった。
 
 車には運転手はつかず自分で運転する。言うまでもないが、JTBの旅とはルートも違うし、ひとつの町での滞在日数も違う。JTBは同じホテルに1〜2泊でも、こちらは2〜3泊である。したがって、JTBよりゆったりしているが、旅程もその分延長される。
 
 夕食は、JTBはパリでの日本食1回以外はほとんど西洋料理であるが、私は日数の長い関係もあって、日本料理を2回、中華料理を2回組み込み、あとは西洋料理にした。そうして16泊18日間の旅程を立てた。アンティーブ3泊、パリ2泊、バーデン・バーデン3泊、バーデン・ヴァイラー2泊、チューリッヒ3泊、コモ3泊。パリではブリストル、チューリッヒではドルダーグランドに投宿。
 
 飛行ルートは次の通りである。大阪ーパリーニースーパリはエールフランス、パリーフランクフルトはルフトハンザ、チューリッヒーミラノはスイス航空、ミラノー大阪はアリタリアを利用した。航空機はすべてCクラス、つまりビジネスクラス。レンタカーはニースで4日間、フランクフルトで7日間、延べ11日間借りた。
 
 旅行費用がいくらであがったか、早くお知りになりたい方のために言いますと、64万円。JTBの5分の1、そんなバカなとお思いの方に安さのからくりをつまびらかにいたしましょう。
 
                     (未完)
 
更新日時:
2002/04/28

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