格安旅行の快楽(1)
 
 若い時、といっても10代〜20代までであるが、手持ちの金銭が不如意ということもあって、旅というとどうしても貧乏旅行にならざるをえない。30年も前なら、ヨーロッパは北回り(アンカレッジ経由)より南回りのほうが遙かに旅費は安かった。
 
 少々時間がかかっても、なに、若い頃は時間だけはたっぷりあるので、搭乗時間の長短など気にもならなかった。
 
 30代になると小金もできて、それまで横目で見るだけだった優雅な宿に泊まれるようになった。しかし、正規(普通)の料金を支払って宿泊するのはバカバカしいので、キャンペーンなどで割引料金、または格安料金を設定している時期を選んで予約を入れた。
 
 主婦があっちのスーパー、こっちのスーパーで野菜や肉、日用雑貨を少しでも安く購入するのと五十歩百歩の感覚で旅費交通費を安く上げるのは、時間と手間はかかるが、かけただけの見返りはすぐに顕われる。「エッセイU」に「HOTEL」と題して小文をしたためたのは、単に格安旅行だけを書いたのでは面白くないからである。
 
 豪華旅行と格安旅行の両方を経験してこそ、格安旅行は論じられるべきではないか、私はそう考えている。美しいのは海ばかりではあるまい、小さな湖も私たちを魅了するのである。
 
 とはいっても、いざ旅行ということになると、タテマエはともかくホンネの部分で、あんまりな貧乏旅行はしたくないと心のどこかで囁くやつがいる。学生の頃ならいざ知らず、いまさら外国くんだりまで旅して、ユースやYMCAに泊まるのは…そう思うのが人情というものであろう、貧乏旅行のほうが深く思い出にのこる事は分かってはいても。
 
 宿はホテル形式からB&B、ファーム・スティなど選択肢は広く、このHPの「スコットランド」の「アードシールハウス・B&Bの理想形」にもすでに書いたように、清潔、快適、温かいもてなし、おいしい料理、おいしい空気、ロケーションの良さプラス、リーズナブル・プライス、そのすべてが揃ってこそよい宿であると思う。
 
 ありそでなさそで、なさそでありそな宿。そんなすばらしい宿に巡り逢った時、心までみたされ豊かになるのである。
 
 ヨーロッパは広いから、夢の中に出てくるような素敵なB&Bは存在する。私はまだB&B歴は浅いので、そういうB&Bは少ししか知らないが、英国やフランスのB&BをこのHPでご紹介できれば幸いと考えている。次回の英国旅行ではファーム・スティ(農家民宿)も体験する予定なので、その時期が来ればUPするつもりである。
 
 
                       (未完)
 
 
更新日時:
2002/05/25

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