ストーンヘンジ1
ストーンヘンジ1
 
眼前に古代遺跡をみるといつも同じ感慨にふけってしまう。時空を超越するとでも云おうか、数千年の時間と空間は本当に存在したのだろうか…いつの間にそんな時間が経ってしまったのだろう…何の違和感もなくそんな風に思ってしまうのだ。私は古代遺跡にロマンチシズムではなく躍動を感じる。モヘンジョダロでも飛鳥・石舞台でも同じものを感じた。それらは今も息をし、土の下でひくひく蠢(うごめ)き、大地に鼓動しているのである。
 
私たちがその鼓動を感じるのは、私たちが間違いなくそこ(古代)につながっていて、そこに帰着する何かであると思うのは至極当然のことではないだろうか。私たちの魂は大地を通して、時空を越えて、確実に祖先と往き来しているのである。
ストーンヘンジ2
ストーンヘンジ2
 
ストーンヘンジ一帯は広大なソールズベリー大平原のごく一部にすぎないが、緑と灰色の衣をまとったその一帯は、だれが言ったか、数頭のグレイハウンド犬がしなやかに身を伸ばし走り去る姿を思わせる。樹木は少なく、グレイハウンドが途中で水を欲しがるほどあたり一帯は乾いている。
 
ストーンヘンジにはロマンを感じさせるものはないように思う、だが、神々が草原に広げた静かなテーブルについているような、そして、食卓を共にした人々があたかも昔からの仲間であるかのような何かを感じるのだ。

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