4番目の夢ホテルはリゾート地にある。
初夏から真夏にかけて、このホテルの利用客には様々な
特典が設けられている。小さなホテルならではの
趣向といえるその特典とは、日曜から水曜の間に3泊する
宿泊客に対して、4泊目は無料というものである。
 
また、2泊の客には宿泊料が10%OFFとなる。
3泊予定の人も、もう1泊したくなるのが人情というものだ。

 
夕食前の一杯、ではない。
午前11時の一杯…。
 
朝、海岸線をゆっくり散歩した。
海に沿って縦横無尽に入り組んだ細い道を歩く。
午前の日差しは思ったよりやわらかかったし、
海からの風も意外と冷たかった。
 
なのに喉の渇きをおぼえたのは、潮風と迷路のような
小道のせいかもしれない。
 
ほんのり甘いロゼはよく冷えていて、疲れはすぐに癒えた。
きょうは思いきりホテル・ライフをたのしむつもりだ。

 
西洋料理にも食傷してきたのであるが、
だからといって、冷麺、ざるそばというわけにもいかない。
 
ソムリエは夢ホテルといえどもワイン・リストを携えやって来る。
ハウス・ワインがいいから、といっても、イヤな顔ひとつしないのが
夢ホテル。ハウス・ワインに自信を持っているソムリエのいるのが
夢ホテルの美点なのだから…。
 
きょうの昼食は、ハウス・ワインの赤と蟹のプディング。
それと、フォアグラのパテをバゲットに塗って食べるとしましょう。
 
 
 
 
 
 

 
ソムリエとは、18世紀頃のオーストリア(ハプスブルク家)で
皇帝、皇妃が使う食事道具(ナイフ、フォーク、各種スプーン、
スパイス入れ、卵立てなど13点)を管理する若者だった。
 
彼らは皇帝部屋の専属で、君主夫妻の使用する金銀製食器
すべての責任者であり、食器類の洗浄、保管を任され、
晩餐会の会場へと運んでいた。
 
ご主人夫婦が旅行する時も、黒革のケースに入れて
旅先へと持参したのである。
 
こんにちのソムリエとは全く異なる役目を担っていたのだ。

 
客室はスタンダード・タイプとスーペリア・タイプの2種類。
ほかにスイートが1室あるのだが、一般客には開放されない。
 
3回目のリピーターだけにスタンダード・ルームと同料金で
提供されるからだ。リピーターが偶然重なったらどうするか?
当然の疑問がわいてくる。心配はご無用、そういう場合、
スーペリア・ルームにアップグレードの上、毎夕食時、
指定された数種のワインまたはシャンパンがフリーとなる。
 
なに?、スイート・ルームより酒のほうがいいですと!
それは私とではなく、夢ホテルのオーナーと相談して下さい。
きっと満足のゆく回答が得られるのではないでしょうか。
左はスタンダード・ルーム、適度のタイト感が好評です。

 
潮風で火照った身体に朝の冷気はありがたい…。
裏庭にある朝食のための屋外レストランは涼感を生む。
 
夢ホテルでは、部屋数に合わせたテーブル数設定はしない。
涼しげな雰囲気は、広々とした空間があってこそ確保される。
その当たり前の事を当たり前に実行するのが夢ホテル。
椅子の背もたれに寄りかかったら、うしろの背中に
ぶつかった、などというのは論外なのである…。
 
朝食時はいつも空いているナと思う事なかれ。
涼感を創り出すために、余分な席を設けているのです。

PAST INDEX NEXT