ホテルからさほど遠くない距離、6`先の徒歩圏内、
静寂な森の中におごそかに流れるこの川は、
ある有名な川の源流で、途中幾つかの支流と合流し、
2千`の旅をへてバルト海へそそいでいる。
日中、夢ホテルへ遊びに来た森と水の精の棲息地なのだ。
森と水の精が天地の御力に助けられ織りなした、
どこより美しく精緻な空気というタピスリー。
夜明けから日没まで、金色と銀色の糸が撚(よ)られる。
感性はここで育まれるが、育まれるのは感性だけではない。
叡知もまたこの森で育まれるのである。
利便性を追求し、人生をうまく生きることではなく、
人生をよく生きることの意味をこの森で知る…。
ここへ来たいがために何度も再訪を繰り返す旅人がいる。
50年前も今も寸分違わぬ森と川。川にはカワウソがもどり、
森にはいまもアナグマが棲み、フクロウが昼夜を問わず鳴く。
旅人は変化しない事の大切さをも教わるのである。
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